JRO Logo

コンマス関根の音盗り大作戦(第2回)

←第1回第3回→
その3:構成を盗ろう
  1. まずは曲を聴く
    当然ですが聴かないことには始まらない。最初は音のことは
    考えないでひたすら何度も聴きます。
  2. 拍子を調べる
    4/4 とか 3/4 とか楽譜の一番最初に書いてある奴です。4/4
    と 2/2 の違いは拍の感じ方で分けます。全体的に速いテンポ
    で動きの速い曲は 2/2 で書いた方がいいでしょう。
  3. 小節数を数える
    全体の構成を知るために曲全体の小節数を数えます。まずは
    ひたすら数えてスコアの長さの見積もりをします。
    曲によってはとんでもない変拍子(7/8 とか 5/8 とか)が
    紛れ込んで表拍と裏拍がひっくり返ったりすることがありま
    す。こういう時には雰囲気処理でとりあえず普通の拍子であ
    るとみなして書いておきます。
  4. 構成を調べる
    普通の曲はイントロ、Aメロ、サビ、間奏... と曲の中にい
    くつかの変化があります。どこで変化したかの判断ですが、
    大体8小節か16小節単位で変化するパターンが多いのでそ
    れを目安に分けます。これにこだわることはなく曲調が変わ
    ったところで区切りをつけた方がいいこともあります。また
    大体の場合パターンが変わるところでドラムがオカズを入れ
    てくれるのでこれを目安にするもよし。これを小節数単位で
    何小節あるかメモしていきます。取り敢えずはリピートなど
    は考えないで先に数えた小節数に割り当てていきます。
  5. 空のスコアを作る
    ここでようやく小節線をスコアに書き入れていきます。どこ
    でリピートするかの目安は立てておきますがまだ完全に同じ
    かどうかわからないのでまだリピート記号は入れません。
    まだ全曲分は入れないで構成単位で書いていった方が後の変
    更や修正を考えたら安全。


その4:コードを盗ろう
  1. 調性を調べる
    調性というのはその曲を支配しているコード(トニック)の
    キーです。いわゆるドミナントモーションの構成の曲は終わ
    る感じの部分のコードがこのトニックなのでこれを曲のキー
    として書いていきます。え?ドミナントモーションがわから
    ない?ドミナントというのはドとミと何とって聞いて来てい
    るのでそりゃソのことでしょう。つまりトニックに対して5
    度の音の和音、Vのことです。ドミナントモーションの典型
    的例をあげるなら音楽の授業の「起立!、礼!、着席!」の
    「礼」→「着席」の部分やコメディー番組のオチで鳴る「ち
    ゃんちゃん」の音の動き。つまり物事を収束させる働きのあ
    るコード進行なわけです。でもって落ち着いた先がトニック
    というわけですね。お分かりでしょうか。しかしコンテンポ
    ラリーもので調性が決まらないもの(モードやフリーなど)
    はあえて調性記号を書かずにおくことも有ります。
  2. まずはベースから
    盗る順番は人によって好みがあるでしょう。関根は全体の流
    れがつかみやすいベースパートからとっていきます。イント
    ロやエンディング、テーマのアンサンブルが重要な部分のベ
    ースパターンは正確にとります。アドリブのバック部分はコ
    ードだけ書いてソリストと自由に会話できるようにしていま
    す。コードの盗り方は後述。
  3. 理論ずくでコードを盗る
    さて、いよいよ音盗りの第1関門、コードを盗ります。実は
    コードの種類は大きく分けてトニック、ドミナント、サブド
    ミナントの3種類しかないのです。トニックが落ち着く感じ
    でドミナントがドとミと…しつこいですね。サブドミナント
    はドミナントの下って意味ですからIVのことです。これらの
    コードはある法則をもってコード進行します。その法則を書
    くと長くなるのでこれ以降難しいお話は専門書にお任せする
    ことにしますがその辺のことを知っていると意外とコードは
    かんたんに盗ることができるのです。悩んだら代理コードっ
    てのを調べてみてください。ほとんどの場合当てはまるもの
    があるはずです。この辺の話も理論書にお任せ。さて、その
    うえで音盗りを悩ますのがテンションです。細かいルールと
    いうか決まりがあるのですが、これをいちいち説明していた
    らきりがないので分からなかったら次の項目を参照してくだ
    さい。
  4. 力ずくでコードを盗る ^^;
    理論ずくでもわからない、理論なんて鳥肌が立つ、理論が通
    用しそうもない難解なコード進行。そんな時はいよいよCD,
    MDデッキの区間リピート機能が威力を発揮します。
    盗りたい部分の0コンマ何秒という短い区間にリピートを設
    定してひたすら流しまくります。聞こえてきた音を片っ端か
    らキーボードで拾って重ねて確かめていきます。トーナリテ
    ィがわからないときはリピート区間を広めにとってベースの
    動きから類推します。トーナルセンター(そのコードを支配
    する音)がみつかったらそこからドレミファと音を数えてい
    きます。3、5は構成音、3の音が半音下がっていたらマイ
    ナー、7はメジャー7、7より半音低いならセブンスです。
    偶数ならテンションとみなし7を足します。ただしセブンス
    が見つからない場合13は6のままでいいです。やはりこの
    辺はある程度和声の知識が必要かもしれません。その外にす
    べての音が短3度で重なっているディミニッシュがあります。
    これはサスペンス劇場でよく使われている不安な感じのコー
    ドなので頭に入れておくと意外と簡単に見つかると思います。
    こうやって強引にコードを盗ります。
  5. 分数コードはどうやって盗ろうか
    さて、プレイヤーばかりでなくアレンジャーも悩ますのがこ
    の分数コード。つまりChord/Bassと書かれているコードです。
    これは大きく分けて2つの種類があります。ひとつが和音の
    構成音の3、5、7の音をベースにしたもの、たとえばC7/G
    とかいう奴です。音の動きはものぐさなもので本来行くべき
    音があっても全体の流れでその近くに落ち着きそうな音があ
    るとそちらに逃げる性質があります。たとえばI→IV→I
    →V7→Iって動きがあったら真ん中のIはその次にあるV
    へ行くならIの和音の中にあるVがその前のIVに近いので
    そちらに逃げると。こうやっできるのがI/Vというコード
    になるわけです。もう一つが弾いているコードのトーナルセ
    ンターの全音上の音でベースが入るもの。これは逆にコード
    の方がものぐさをして動きたがらないパターンです。たとえ
    ばI→IV→V→Iという動きの場合IVからVへ動くのに
    最後に解決するのがIだとわかっていればIV→Iってのも
    楽なのでとりあえずIVのままでいいやって和音が思うんで
    しょう。でもそれでは変化がないからって根音だけがVに移
    動するというわけです。厳密にいえばこの時のコードは
    Vsus4-7(9)11 となるけどこうやって考えれば I/IV ってい
    うのも納得できるでしょう。この和音はこれ以外にもモード
    ものでよく使われますがこちらはちょっと使う意味合いが変
    わってくるので前述の和音の調性とメロディに使われている
    スケールから判断します。難しい話なのでこれも理論書にお
    任せ。

←第1回第3回→
お問い合わせはsekine@inh.co.jpまで。
JROホーム